最終更新日 2022(令和4年)年4月1日

このホームページのご紹介

 このホームページは令和元年度~令和3年度厚生労働科学研究費補助金・難治性疾患政策研究事業・指定難病と小児慢性特定疾病に関連した先天性骨系統疾患の適切な診断の実施と医療水準およびQOLの向上をめざした研究班からの情報提供サイトです。

 研究班では、骨系統疾患の患者さんに有用な情報提供と頻度の少ない骨系統疾患の患者さんに遭遇された医師や医療従事者の方に診療上の情報提供を行っています。また全国の医療機関の診療情報の収集も行っています。

骨形成不全症と心血管合併症の研究

 骨形成不全症の患者さんたちは、骨折しやすいだけでなく、大人になったあとに心臓や血管に障害が出ることがあります。具体的には心臓の弁が弱くなったり、血管がふくらんだりすることがあります。しかしその頻度や治療適応は十分に分かっていません。この研究では骨形成不全症の患者さんが精密検査を受けることを通して、骨形成不全症患者の内科管理のあり方を探ることを目的としています。詳細は以下のホームページをご覧ください。

 骨形成不全症と循環器系合併症の研究

タナトフォリック骨異形成症の診断基準

 平成27年7月1日に指定難病275に指定されました。診断に必要な診断基準は個別の骨系統疾患のタナトフォリック骨異形成症の項目に記載しています。

指定難病と小児慢性特定疾病に関連した先天性骨系統疾患の適切な診断の実施と医療水準およびQOLの向上をめざした研究班の概要

 本研究は胎児・新生児・小児の骨系統疾患に遭遇した医師が適切な診断を早期に行い、医療・療育につなげることを目的としています。特に本研究では指定難病の視点で研究を行っています。本研究班は産科・放射線科・小児科・整形外科・分子遺伝学の領域で、胎児や新生児の骨系統疾患を専門とする第一級の専門家で構成しています。また本研究は代表者(澤井英明)が「胎児骨系統疾患フォーラム」という産科医中心の診断支援グループを中心にH22~24年度まで実施した厚生労働科学研究・「致死性骨異形成症の診断と予後に関する研究班(代表者・澤井英明)」で行った、致死性骨異形成症(現在の疾患名タナトフォリック骨異形成症:以下TDと略)に対する取り組みをすべての胎児・新生児の骨系統疾患456疾患に拡大させ、疾患頻度を調べるコホート調査や確定診断指針作成など新たな課題に取り組んだH26年度「胎児・新生児骨系統疾患の診断と予後に関する研究」、H28~H30年度「指定難病に該当する胎児・新生児骨系統疾患の現状調査と診療ガイドラインの改訂に関する研究」を継承するものです。
 骨系統疾患は骨や軟骨などの組織形成の障害により、全身的な骨格が障害される疾患で、2019年の国際分類では461疾患が存在します。個々の疾患の頻度は2万人に1人程度と低いものの、疾患が多数あるため、全体の罹患頻度は多いですが、明確ではありません。重症な疾患では胎児期から骨格異常を指摘され、代表的な疾患は、TDや軟骨無形成症、骨形成不全症、低フォスファターゼ症、軟骨無発生症などです。診断はX線診断と一部は遺伝子診断によりますが、治療は対症療法がほとんどで、標準的で有効な診断・治療法がない難治性疾患であり研究の推進が必要です。
 具体的には、1)タナトフォリック骨異形成症、2)骨形成不全症、3)低ホスファターゼ症、4)重症型の2型コラーゲン異常症、5)軟骨無形成症、6)大理石病について、1)症例の診断確定と治療方針決定の支援と定期的な研修会等の開催、2)全国を一定の地域に分け、地域の医師に適切な診断と助言を行い、妊婦や患者家族に適切な診療ができる施設を全国(すべての都道府県)に整備、3)ホームページ等を用いた一般の医師や妊婦、患者、家族が情報を得るシステムを構築、4)疾患頻度を明らかにするため、特定地域を対象としたコホート調査と全国規模の患者調査、5)骨格異常を有する胎児を診断し適切な妊娠管理を行うため、胎児超音波検査や胎児CT、遺伝子検査による各診断方法の情報収集、6)胎児期および出生時点での確定診断指針(X線診断や超音波検査、遺伝子検査等)を確立、7)骨系統疾患の長期生存患者の発育状況について詳細な聞きとり調査を実施、8)2015年の骨系統疾患国際分類の改定に対応した疾患整理等です。

胎児の骨系統疾患についての連携して診療や研究にあたる試みはいま始まったばかりです。
胎児の骨系統疾患についての連携して診療や研究にあたる試みはいま始まったばかりです。