当研究班の概要

 

 骨系統疾患は骨や軟骨などの組織形成の障害により、全身的な骨格が障害される疾患で、2019年の国際分類では461疾患が存在します。個々の疾患の頻度は2万人に1人程度と低いものの、疾患が多数あるため、全体の罹患頻度は多いですが、明確ではありません。重症な疾患では胎児期から骨格異常を指摘され、代表的な疾患は、TDや軟骨無形成症、骨形成不全症、低フォスファターゼ症、軟骨無発生症などです。診断はX線診断と一部は遺伝子診断によりますが、治療は対症療法がほとんどで、標準的で有効な診断・治療法がない難治性疾患であり研究の推進が必要です。
 具体的には、指定難病と小児慢性特定疾病(小慢)の骨系統疾患、①タナトフォリック骨異形成症(指275)、②軟骨無形成症(指276・小)、③低ホスファターゼ症(指172、小)、④骨形成不全症(指274、小)、⑤大理石骨病(指326・小)を基本的な対象とする。小慢のみ認定の、⑥2型コラーゲン異常症関連疾患、⑦TRPV異常症(変容性骨異形成症等)、⑧カムラティ・エンゲルマン症候群、未認定で候補の⑨骨パジェット病、新概念⑩遺伝性骨系統疾患も対象とします。適切な診療のために医師や医療機関を支援し、診療環境を整えて患者QOLや医療水準を向上させることが目的です。

 

骨系統疾患は国際分類は461疾患もありますが、患者数が極端に少なく、重症でも研究が進まず、医療費助成対象外の不利な状態の患者が少なからず存在します。

 

1)診断基準・重症度について:①~⑤までの指定難病と①~⑧までの小慢について、最新の情報を元にこれに反映。

2)診療ガイドライン:対象疾患について各学会と連携して作成または更新

3)疾患レジストリ:疾患登録を行って、データ利用範囲拡大や公開を推進

4)患者調査:骨形成不全症の成人期循環器系合併症を調査実施、⑥~⑩の疾病状況調査を開始

5)遺伝性骨系統疾患の診断基準を検討開始、遺伝子検査を提供

6) 国際骨系統疾患学会の骨系統疾患国際分類の和訳

7)成人患者の身体機能の調査の開始

8)成人患者の生活自立を目指した取り組みの開始

9) 日本整形外科学会の骨系統疾患マニュアル改訂第3版に参加

10)胎児期と出生後の検査所見やX線所見の収集(胎児骨系統疾患フォーラムと協力)